生 田 緑 地 見 学 会 (平成19年10月)
 10月のさわやかな秋空の下、大都会の中で貴重な自然を保護しているといわれる、川崎市の生田緑地を歩きました。
 参加者は当自然環境部会の7名、いずれも熱心な自然愛護家です。
 バス停より十分ほど歩いて、ゴルフ場のクラブハウスの前を抜け、緑地の西口から入り右手の小道に入ると、目に鮮やかな自然のままの森林帯が広がっていました。
 どんぐりの実を踏みしめながら、ならの木の中の階段を下り、小川の橋を渡ると、メタセコイヤの樹がすっくと立ち並ぶ小さな広場に出ました。右手奥には岡本太郎美術館が燦然と輝いて、緑の林の中で異彩を放っておりました。美術館は一部を半地下にし、屋上は植栽などで緑化した、自然との融合に配慮した設計が好印象でした。
 メタセコイヤの広場には、沿うようにして小川が流れて、いくつかの池が形成され、そこが希少生物となりつつある「ホトケドジョウ」の生息地でした。
 残念ながら、期待していたホトケドジョウにお会いするすることは出来ませんでしたが、このよう池は、子供の頃に駆け回り、おたまじゃくしやかえるを追いかけた野山のそこらに、いくらでも有ったように思います。都会化が進んだ今は、回りの緑地も含めて、砂漠で出あったオアシスのようです。
 池を潤した谷津の清水は、地面に浸透してから、再び伏流水となって多摩川に流れ込んでいるはずですが、緑地のためにも、周りの環境に汚されること無く、いつまでも清流を保っていて欲しいと願うばかりでした。
 緑地の最高点のつつじ山に登り、フェンス越しに明るく開けたゴルフ場を横目に、外周沿いに野鳥の池まで軽いトレッキング。秋の日差しを浴びて小汗をかいた体に、池に落ちるせせらぎの音が心地よく響きました。
 野鳥の池の傍らには、水場を求めて集まる小鳥を観察できる小屋がしつらえてあり、小さいながら小鳥たちの貴重なサンクチュアリになっていて、春のシーズンにはカメラを携えた愛好家たちが押しかけるようです。
 お昼、は城跡といわれる枡形山展望台に登り、大都会の遠望を楽しみながらの昼食。
 午後からは、生田緑地植生管理協議会の方の案内で、ビオトープの管理の状況などの説明を伺いました。同協議会はNPO法人としての緑地内のフィールドや湿原の手入れのほかに、市民活動の指導、啓蒙活動など盛りだくさん年間行事や報告書の作成など、多くの活動をされています。
 事務所での説明の後に現地に案内され、植生の管理、枯れ地の復旧などご苦労、ご苦心の程を長時間に亘っての説明を受けました。
 都市における植生管理は、一般的に理解されにくく、長期に亘る忍耐力の要る仕事だ、との思いを強くしました。
 ホタルの里では、ゲンジ蛍が発生するのは必ずしもエサとなるカワニナの生息地とは限らないことや、絶滅したと思われた植物が有る年に突然再生し、発見されたこと等、身近な生物界にもまだ謎が多いという説明も受けました。
 又、当地に帰化した外来種に本来種が、追いやられて衰退していく様など、大変興味深いお話も伺いました。
 耳を澄ますと周りの草花や昆虫たちの生存競争に明け暮れているざわめきが聞こえてきそうです。
 人間の都合で外界と孤立されたこの緑地で、繁殖や植生を繰り返す昆虫や植物たちは、遠い将来どのように進化していくのか、そんな思いを馳せながら時間を立つのも忘れて、蝶やトンボの飛び交う谷津の原にたたずんでいました。
 帰路、夕暮れが迫る中を電車が鶴見川に差し掛かったとき、折りしも借り入れ時の黄金色の稲の穂が夕日に一面に輝いて、遠くの丘陵には緑の森が延々と連なっている景色が、車窓から飛び込んできました。
 青葉区には生田緑地のような立派な自然環境はありませんが、この景色こそ青葉区の川と緑の自然環境であり、これを守って立派に子孫に残すことが,私たちに課せられた使命との思いを新たにしました。